パート2は、医療編です。


僕のような大きな組織に所属していない医者の場合。


つまり大学の医局に所属していない医者の場合。


外科医として生きていくのに一番重要なことは。


それは、手術の技術でもなく。


外来の人気でもなく。


実は弱り目に祟り目を避ける技術なんですよね。


弱り目が起きれば、祟り目が起きる可能性が一気に上がる。


つまり震度9の地震が起きれば。


震度7レベルの余震の可能性が一気に上がるように。


具体的に言えば。


手術というのは、いつも100点を目指しているわけではないのです。


別に手を抜いているわけではないのです。


医療従事者以外に説明するとなると、手術は数学の試験のようなものと言えばわかりやすいでしょうか。


東大理一でも、合格するのに100点を取る必要はありません。


4問あって、その内の2問を完全に解答する。

そして残りの1問を部分点。


6割を目指す。


100点を狙える実力があっても、100点を狙えば40点で終わる確率が上がる。


人生がかかっている受験では、60点を必ず取ることが重要なのです。


それは手術は似ている。


勿論、手術の中には時間をかければかけるほど良いものになるありますが。


例えば、整形外科の手術では人工関節とかね。


骨折の場合は、100点を狙って丁寧にやり過ぎるとドロ沼にはまることがあるからな。


話を弱り目に祟り目に戻して。


手術の最低合格点を60点にすると。


患者のバックグラウンド、骨折のタイプによってその手術の目標得点を設定する。


例えば80点を目指すとかね。


勿論、条件が良くて100点を目指すこともあるし、逆に初めから60点を目指すこともある。


弱り目に祟り目を防ぐ技術というのは、80点を目指した手術で弱り目が起きた場合。


それを取り戻そうとして、祟り目が起きる確率を増やすのではなく。


その時点で目標得点を75点に下げれるかなんだよな。


現実はそんな単純な話ではなくて、弱り目に祟り目が続いたら。


弱り目に祟り目ダブルやトリプルを防ぐために、手術自体の数を控えたり。


初めから目標得点を下げたり。


そうやってリスクコントロールをしていく。


医師免許をもっていて、外科系の医局に入ればその時点で外科医だけど。


一人前の外科医になるのは、その内の何割しかなれない。


そして、稼げる外科医になるには。


つまりリスクをコントロールできる外科医になるのは、多分外科系の医局に入った医者の1割ぐらいかな。


だから、外科医は絶滅危惧種なんだよ。


一人前の外科医になれなかった医者のほうが、開業して金持ちになってたりするのが現実なんだけどね。