一人のジャッジは114-113で井上の勝ちとしていましたね。1ポイント差ということは、第11ラウンドのダウンがなければ、どちらに転んでもおかしくなかった、という見方が出来ます。正直、僕は途中からドネアに感情移入していました。あのダウンがなければ、ドネアの勝ちでもおかしくなかったように感じています。「36歳のファイターが、ここまで仕上げて来たのか。10歳も年下の、モンスターと呼ばれながら成長を続ける男を、こんなに苦しめるのか」と、胸が熱くなりました。だから、ドネア贔屓の採点をしていたように思います。


井上尚弥の強さは圧倒的なので、今回も1ラウンドか2ラウンドあたりで勝負がつくと思ってテレビを見ていた。

試合が始まっても井上尚弥の絞り込まれた惚れ惚れするような体と、ドネアの弛んだ体。

井上尚弥のバンタム級としてもビックリするようなパンチのスピードと、ドネアの明らかに見劣りするスピードのパンチ。

あとはどれだけ劇的に、どれだけ早くノックアウトするのかと思ってテレビを見ていると。

1,2ラウンドは井上尚弥の優勢だったんだけど、いつの間にかドネアのパンチが当たるようになって井上尚弥の右目の上から流血。

あれよあれよと言う間に、ドネアの優勢になってきた。

11ラウンドのダウンがなければ、日本ボクシング史上最強の井上尚弥が負けるの?ってぐらいまで追い込まれていて。

まるでロッキーの映画を見ているようだった。

百戦錬磨、生きる伝説。(この試合を見るまでドネアは知らなかったんだけどね)
ノニト・ドネア(Nonito Donaire、1982年11月16日 - )は、フィリピン出身のプロボクサー。元IBF世界フライ級王者。元WBA世界スーパーフライ級暫定王者。元WBC・WBO世界バンタム級統一王者。元IBF・WBO世界スーパーバンタム級統一王者。元WBA世界フェザー級スーパー王者。元WBA世界バンタム級スーパー王者。世界5階級制覇王者。アジア人として初めて主要4団体(WBA・WBC・IBF・WBO)全てで世界王者となった人物。

勿論、井上尚弥はドネアを超える伝説のボクサーになるのかもしれないけど。

老眼で外科医としても旬を過ぎた自分自身としては、全盛期を過ぎたチャンピオンが伸び盛りのチャンピオンを翻弄するのに勇気をもらった感じがしたな。

勇気までは大袈裟だけど、少なくとも感情移入してしまった。

これがアジア人として初めて主要4団体(WBA・WBC・IBF・WBO)全てで世界王者となった人物なのかってね。

最後はラッキーパンチというと言い過ぎだけど、井上尚弥の勝利で日本人的にも興行的にも番組的にも結果オーライで良かったね。

久しぶりにボクシングの試合で感動したよ。

辰吉丈一郎と薬師寺の試合以来かもしれないな。
(言うまでもないけど、俺は辰吉丈一郎の方を応援したけどね)

ラグビー・ワールドカップもそうだったけど、ガチのスポーツは本当に面白いね。

人生を賭けて戦う。そして勝者が全てを手にする。そういう単純な構図だからこそ心が揺さぶられるんだろうな。

ボクシングを見ない読者に。井上尚弥は一試合のファイトマネーが1億円を超える選手に余裕でなるよ。

多分、このまま順調にキャリアを積み上げると仮定すれば、一試合のファイトマネーは2,3億円になると思う。

その額は一般的な日本人チャンピオンではあり得ない額です。

おわり。