マッキントッシュ喉頭鏡だけしかない時代は「挿管困難だ!」とオペ室が大騒ぎになること相当よくありました。そこで「ウデのいい麻酔科医」みたいなのが出てきて、見えない声門からうまいこと挿管するんですよね。マスク換気も難しくてSpO2が下がってきて、ラストチャンスだ!みたいな感じでボスが挿管操作しているような現場を経験すると、あぁ麻酔科って怖いけどこんな最後の砦になるような麻酔科医に将来なりたいな、と思ったものです。

俺なんかはこの感覚が良く分かるんだけど。

現場系と言うか、手術室にいる医者と言うか、手技系の医者と言うかには良く分かる話だと思うけど。

俺も若いときはこんな感じの医者になりたいと思ったね。

今でもそれぞれの科で、サブスペシャリティでウデのいい医者ってのはいるけど。

でも麻酔科医をみていると、もう麻酔看護師で十分じゃないのかなって思うことが良くある。

少なくとも外科医の自家麻酔をある程度は許容したほうが良いと。

勿論俺はオールドドクターだから、自家麻酔の問題点があるから麻酔は麻酔科医という流れがあったことは当然知っているけど。

俺自身が自家麻酔執刀医だったし。

だけど、リスクが高くない手術にまで(単なる骨折など)麻酔科がかけないと何かあったら訴訟みたいな世界観が正しいのかね?

麻酔科の専門医のライセンスとかは、華道のお免状と何が違うのかなとは思うけど。



小原流も始まりは「入門」ですが、そこから初等科→本科→師範一期→師範二期→准教授という順に認定されていきます。小原流のカリキュラムでは、准教授までにかかるお稽古は全部で72単位と決められており、週1ペースでお稽古を受けていれば約1年半で准教授まで取得することができます。

俺自身の外科医としての賞味期限切れが近づいている関係で、同僚の循環器内科の先生に弟子入りして、現在CVの絶賛修行中なんだけど。

急性期病院で働けなくなっても、老健だ働けるようにね。

その先生が60歳過ぎのオールドドクターなんで、メルクマール法でのピールオフ派だったんだけど。
400782_3L2
ピールオフ


CV関連本を大量購入したけど、ゆる医的には「必ず上手になる!中心静脈穿刺」が一番役立った。

50歳過ぎのオッサンドクターである俺がメルクマール法でピールオフのCVをやろうと思っても全然うまくいかない。

当たり前なんだけど、俺も悔しいからちょこっと勉強してリアルタイムでのエコーガイド下のCVを教えてくれとリクエストしたらそれに対応してくれたんだよね。

「師匠ありがとう」といつも心で感謝しています。
超うまいベテランのブラインド穿刺より、普通の先生のエコーガイド下の方が合併症少ないというんからしょうがないんですよね。

今までのメルクマール法でのCVって何だったんだろうね?

最終的には場末病院の性能の悪いポータブルエコーではリアルタイムでのエコーガイド下のCVはなかなかうまくいかず、エコーで静脈を確認してガイドワイヤー法にしてみたら全然精度が違う。
11.ガイドワイヤ挿入 図1
セルジンガー法

10年、20年とかけて習得した技術が、医療機器の進歩に伴い数ヶ月ほどで習得できる陳腐化した技術になるってのを自分自身で経験した。

手術にも、やったことがある、できる、金にできるってレベルがあるけど。

俺なんかはCVできるレベルにしかならないとは思うけど。

結局は麻酔看護師で良いんじゃね?って話にはなると思うよ。

金にできるCV技術ってのは当然存在していて、それが必要とされる場所がなくなることはないんだけど。

こんな話はCVだけでなく医療業界には一杯あって、金にできる技術を持っていたとしてもできるレベルまでの習得が容易化すると。

金にできる技術の値段が下がるんだよね。

若いときにはウデのいい医者に憧れることがあると思うけど、そこまでなるまでのコストと。

掛かったコストを回収してマネタイズ出来るまで考えて今後の医者人生をプランニングすることは結構重要。

これはオーベンは教えてくれない

自分で察するか、俺のブログを読むぐらいしかないかな。

おわり。