物件購入代金の多くを融資で調達し、資産運用をしたい方にとっては自宅購入時と投資時のエリアに対する考えは全く異なります。物件金額の高さに比例して賃料も高くなれば投資対象として十分考えられますが、実際はそのようにはなりません。

全く同じ一棟収益物件が不人気エリアと人気エリアにあったと仮定します。物件金額が不人気エリアで5,000万円、人気エリアで2倍の1億円で取引されている場合、不人気エリアでの賃料が5万円なら人気エリアの賃料が2倍の10万円になるかといえば、そんなことはありません。高くなってもせいぜい2〜3万円程度です。

医者が不動産投資を始めようと思った時に陥りやすいバイアスとしてはこのどのエリアに投資するか問題があるんだよね。

人気があるエリアの物件ほど利回りが低く、人気が低いエリアほど利回りが高い。

それを因数分解すれば簡単な話なんだけど。

基本は建物を建てるのは都心も地方も変わらない。(2割程度は都内のほうが高くなるけどその辺は誤差の範囲)

土地の値段は都心と地方では10倍にも100倍にも違いが出る。

その上で都心の土地の値段ほど値上がりの可能性があり、値下がりしてもその割合は低い。

一方で地方の土地は必ず、絶対、確実に値下がりする。(一部の博多などは予想できない部分あり)

地方の物件ってのは土地の値下がり分をリスクプレミアムとして利回りに乗っかっていないと割にあわないんだよ。

そして地方の方が都心より空室率が高くなるのでその分のリスクプレミアムも利回りに乗っている。
1111

東京都内の投資用物件で言えば、港区、渋谷区では表面利回りが3%台の物件が一杯ある。

つまり実質利回りは2%台になる。

この物件を金利2%台で借りていたら足が出るに決まっているよね。

港区、渋谷区の物件でインカムゲイン狙いの不動産さん投資はあり得ない。

あるとしたら物件を一括現金購入の場合のみ。

地主が融資で不動産を建てても不動産投資としては成り立たない可能性もあるんだよ。

そこに相続税対策などがあれば意味があるんだけど。

一方、足立区や葛飾区などの不人気エリアでは表面利回り6%、7%の物件は沢山ある。

同じように横浜市や千葉県、埼玉県など土地としてのステータスが下がる場所はそれに逆比例して利回りは上昇するんだけど。

表面利回りが7%、実質利回りが5%、融資の金利が2%なら最低限の事業としての体裁は整っていることになりよね。

勿論、表面利回り7%の足立区の物件で出口戦略まで考えてインカムゲイン、キャピタルゲインでプラスにするのは結構難しいと思うけど。

それも当たり前だよね。土地の値段が変わらなくても建物の価値は100%下がるわけだから。
(減価償却されるわけです)

多くの方にとっては、まずはキャッシュフローの出る物件を購入し、キャッシュフローを積み上げ再投資原資として物件を追加購入し、適宜物件を組み替えながら投資規模を拡大し、最終的に人気立地の物件を自己資金を多く投下して購入すればよいのです。

そして医者の不動産投資のゴールはこれでしょ。

資産性が高い場所に土地を持つ。
(株)リクルート住まいカンパニー社が毎年発表している「関東 みんなが選んだ住みたい街ランキング2020」によると、20〜40代の回答は1位から順に「横浜」「恵比寿」「吉祥寺」「大宮」「目黒」「品川」「新宿」「池袋」「中目黒」「浦和」と続きます。関西では、同じく20〜40代の回答は「西宮北口」「梅田」「神戸三宮」「なんば」「天王寺」「夙川」「江坂」「千里中央」「岡本」「京都」でした。

地方の物件でも不動産投資のセンスがある医者が自分の代だけなら才覚で上手く切り盛りしていけば良いだけだけど。

子供の代、孫の代まで考えれば不動産投資のセンスが遺伝する可能性が低いわけだから。

子供も孫も資産性が高い不動産の方が喜ぶしね。

今回のブログの内容を加味すると結局は都内在住より地方在住の方が適宜物件を組み替えながら投資規模を拡大というサイクルを作りやすいんじゃないかな。

高収入の地方在住の医者は非常に有利。

それでも業者のカモにされる可能性が高いのは勉強不足と地頭の悪さが原因ではあるんだけど。

労を惜しまないで業者を馬鹿にしないでやれば十分に勝算がある勝負だと思うけどね。

不動産の世界で生き延びている業者はそれなりに競争をくぐり抜けた強者だよ。

自分自身は圧倒的な弱者の立場だけど、高収入という強力な武器だけは持っているぐらいの感じが上手くいく秘訣だと思うよ。

おわり。