1998年9月13日、21歳の日本人フットボーラーがカルチョの国を揺るがした。世界最高峰セリエAの王者ユベントス相手に2ゴール。懐疑的なイタリア人のみならず、日本人ですら予想できなかった結果を残し、自身の力を証明したのだった。

「それまでの僕はパスを出すことにこだわりというか、美学みたいなものがあって、いかにいいパスを、面白いパスを出すかということに重きをおいてやってきていた。でも、イタリアという国で実績のない外国人選手としてプレーする以上、まずは得点という形で結果を出していかないと、自分がやりたいこともできないんだなと」

平成生まれにとっては中田英寿は知らない可能性もあるんだな。

俺の同世代にとっては中田英寿は特別な存在だったな。

キングカズとの世代交代なんかも印象に残っているし。

同じスポーツ界のパイオニアとしては野茂英雄もいるけど。

野茂は中田英寿と違って何も語らないからな。

引退後も公の場に出てこないし。
中嶋悟がF1に参戦すると聞いたとき、野茂がドジャースに入ると知ったときのわたしは、ご多分に漏れず、どうせダメだろうと決めつけていた。だから、わたしは日本人の可能性を否定したがる日本人を、否定しようとは思わない。否定できる資格があるとも思わない。


話を戻して。

中田英寿がイタリアでは通用しないだろうと思った日本人の一人が俺だからな。

その後にローマに移籍して。

ローマではもっと活躍してくれると思った日本人の一人が俺だから。

F1の中嶋悟についてはジャパンマネー絡みの印象しかないけど。

今思い返してみると、野茂英雄と中田英寿の時代が一番面白かったな。

大谷翔平の場合は別格過ぎて単純に凄いと思うだけだけど。
多くの日本人が、当然のように日本人であることを世界で勝てない理由として使っていた。パワーがないから。身体能力で劣るから。農耕民族だから。

中田英寿や野茂英雄の挑戦には、貧乏人の小倅が社会で成功するとか、低学歴の人間が社会で出世するような今太閤の物語と似た要素で応援していたんだよね。

身体能力が劣った日本人が世界で通用するわけがないというコンセンサスを多くの日本人が共有していた。

ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代だから経済力だけはあった時代だったんだけどね。

随分と時は流れた気がします。

その後、ゴルフではメジャータイトルを男女ともに取り、テニスでもメジャータイトルを取り、欧州のサッカーで活躍する日本人も増えたけどね。

経済では中国にも大きく差をつけれれて日本全体は自信を失くしつつあるのが今だね。

20年後には今の流れが加速していそうだね。

おわり。