静香流ってのは、自分は冒険せず。

上位陣のミスで金メダル。

つまり、高橋が4回転を跳ばず。

確実にメダルを狙うとしたら静香流。

跳ぶぞ、4回転ジャンプ。高橋は、“静香流”で平常心を保つ
跳ぶぞ、4回転ジャンプ。高橋は、“静香流”で平常心を保つ

 跳ぶぞ、4回転! フィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)で3位と好発進した高橋大輔(23)=関大大学院=が18日(日本時間19日)、フリーに出陣する。SP首位のエフゲニー・プルシェンコ(27)=ロシア=とはわずか0・60点差。高橋は、前回トリノ五輪フィギュア女子で首位と0・71点差のSP3位から逆転優勝した荒川静香(現プロスケーター)と選手村で行動をともにしていた経験を生かした“静香流”で、トリノ大会の再現を目指す。



 氷上が無言の戦場と化す。この日、バンクーバー市内の練習専用リンクで行われた決戦前の前日練習。フィギュアの日本男子初のメダル獲得、しかも金メダルの期待がかかる高橋は、高さのある4回転ジャンプを成功させ、納得の表情を浮かべた。


 傍らでは首位に立つ前回トリノ五輪王者プルシェンコが、4回転ジャンプからの3連続ジャンプなど息もつかせぬ4回転ジャンプを見せつけて“挑発”。緊張感を漂わす上位6人の選手が火花を散らした。


 報道陣への対応をしなかった高橋にかわり、日本スケート連盟・伊東秀仁フィギュア委員長は「本番リンクでも完ぺきに降りているし、いい感じできている」と分析した。SPで自己最高の90・25点をマークした高橋には安全策を取る選択肢もある。だが、今大会での4回転ジャンプ挑戦について、「男子の醍醐(だいご)味。成功させていいパフォーマンスをしたい」と明言しており、“一発勝負”に出て表彰台の真ん中を狙う。


 首位との差はわずか0・60点。表情や手の動作ひとつでもおろそかにできない高橋にとって、支えもある。前回トリノ五輪で日本勢唯一のメダルを獲得した、金メダリスト荒川と大会期間中、行動をともにした時間だ。


 高橋が姉のように慕う荒川は首位と0・71点差でSP3位につけ、フリーを迎えた。競技当日もカフェを2軒はしごしたり、好物のアイスクリームを食べるなど平常心をキープ。楽しい時間を過ごした。それでいながら、朝の公式練習と夜に行われる試合の間の約10時間で、仮眠を2時間以上取らないことに注意。体内の集中力を保ち、逆転優勝を飾った。


 会場に向かうバスの中まで一緒だった高橋はこうした行動を踏襲する構えで、関係者によれば「アイスクリームは好きじゃないので食べないと思うが、普段通りを徹底させる。仮眠も1時間程度にする」。“静香流”で、プルシェンコ斬り。誰より近くで見たトリノ大会の感激を、自らのジャンプで再現させる。