チキリン女史の近くに危機感がない人達が多いのは、まあ彼女が所謂勝ち組(元がつくかもしれませんが)だからかな。


それは私の周りで、病院に通っている人がいないと言う人達に似ている。


30歳の女性で定期的に病院に通院している人は多くないと思うけど、もし乳癌になったら人生が一変する。


3.11前と後。

9.11前と後。


それと同じ。

世界が全く変わる。


30歳の女性が乳がんに対する危機感がないと、危機感を持つ外科医はちょっと頭が逝っちゃってる。


そんなもんはなってから考えれば良い。


本来医者がそう言っちゃダメかも知れないけど、乳癌になって人生が一変する確率なんか1%以下じゃないかな。

(疫学的には20人に一人は乳癌を経験するらしいけどね、おばちゃんになってからも含むから)


でも9.11後のアメリカ型の自由主義経済の終焉の始まり。

リーマン・ショック後。

そしてユーロ危機も起こり。

そして3.11で止めをさした産業の空洞化。


もう日本もかつての神話は存在しない。


今の大学生で、新卒時に大企業の正社員雇用されなかった人達は。


その時点で人生が終了。


年収300万で死ぬまで働く人生が決定する。


結婚も出来なければ、家を買うこともできない。


この時初めて、自分は親と同じ人生を歩むグループからこぼれ落ちたことを知る。


その割合は、近いうちに50%ぐらいになるんじゃないのかな。


30歳で乳癌になった女性の絶望が分かるようになる。


35年ローンでマイホームを買った人達。


専業主婦でこどもの教育費をふんだんに使えると思っていた人も。

旦那の会社が倒産したり、リストラされた瞬間に人生が一変する。


そう、9.11や3.11後のように人生が一変する。


買ってしまったものを悔やんでも仕方ないのですが、35年間雇用が維持されると思うことは正気の沙汰とは思えない。


こういう家庭に限って、再就職のとき旦那に市場価値があるかという概念がない。


MARCHと言われる、男性としては三流大学だけど。

女性としては賢いお嬢さんって感じの青山大学卒とか立教大学卒とかの一般職の女性達。


適齢期に条件の良い相手をゲット出来るかで人生が一変する。


ゲットしたグループは多分、一生危機感なんか持たないんだろうな。


条件悪い相手をゲット派と未婚派は、少しのタイムラグを経て。

自分が親と同じ人生を歩むグループからこぼれ落ちたことを理解する。


そこにあるのは、危機感じゃなくて絶望だけで。


何が言いたいかと言うと。


日本人の9割以上の論理的思考のできない人達にとって。


危機感なんかは一生持たずに、突然絶望がやって来るんだよ。


突然医者に癌を宣告されたようにね。


小田正和風に言えば、絶望感は突然に。

(ラブストーリーは突然にのパクリっすよ)









2011-09-15 いい国すぎて危機感がもてない

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20110915

先日、知人と食事をしてたら、「なんで日本ってこんなに危機感がないんだ?」という話になったのだけど、ひとしきり話してから思った。「危機感なんてもてないよね。だって全然、危機じゃないもん。」と。

都心のヌーベルシノワをうたったおしゃれな中華レストランの奥まった席で私たちが堪能していたのは、1万円ちょっとの創作コース料理とシャンパンベースのカクテル。

日曜日だから人通りも少なく、節電とやらで街はいまだに暗いけど、食事を終えてめっきり秋らしくなった風を楽しみながらそぞろ歩きしていてもなんの問題もない治安の良さ。

こんないい国で暮らしてて、何にどう危機感を持つべきだと?

って思う。



別にあたしだけじゃない。その翌日は銀座のワインバーで昔の友人達と食事。ひとりは35年ローンで家を買い、別の一人は10歳若い彼女と千代田区のマンションで同棲を始めたという。もうひとりは海外赴任が決まった。そしてあたしはタヒチにいった話と、来月、イタリアに行く話をする。

株価が史上最安値だかなんだか知らんけど、ユーロが100円切るかもしれないけど、おいしい食事とワインとおしゃべりを楽しみながら、「この国も終わりだよね」とか言ってても全然説得力がない。


ちきりんは、自分がとても突出した立場にいて、自分の周りだけがこうだとは思えていない。実にたくさんの人たちが、こんな感じなんじゃないの?この国の危機感のなさは、まさにこういう人たちに支えられてる。


企業だって同じだ。貸出先がなくてめっちゃこまってる銀行は、名前の通った大企業に貸し出したくてうずうずしてる。就職先のない大学生も押し寄せるように応募してくる。自社の株価が少々下がってもなんの問題もない。そもそも日本の大企業の大半は、今や株式を上場しておく意味さえ見失いつつあるんだから。

確かに売上が伸び悩むようになってからボーナスが少なくなったし、今の役員が部長だった頃にもらっていた額は、今、部長職をやってる自分はとてももらえていない。

それでもつい5年前に35年ローンで家を買ったばかりだし(つまり、向こう30年はこのローンが払えるだけの収入があると信じているし)、それどころか妻は子供の進学や留学に、まだたっぷりとお金を掛けられるという前提で、あれこれ子供の将来を案じてる。

会社にいけば、そりゃあ危機感は感じる。もう儲かるようにはならないよね、と思える事業に2000人の社員がぶら下がったりしている。どうにかしなくちゃいけないとは思う。このままじゃもたないとも思う。

でも家に帰れば、秋の大型連休にはどこに行こうか、という相談が始まる。



なんだかんだいっても、私たちはあまりにすばらしい国に住んでいるので、なんの危機感ももてません。


そんじゃーね。